横浜市西区の銭湯「朝日湯」は昭和レトロな正に公衆衛生浴場だ
三ツ沢公園ランの後に立ち寄った
「ランニングの汗を流すことができればいい」そんな必要最低限の機能を満たすミニマル銭湯だが、そこには廃れてしまう前に行くべき情緒・雰囲気があったのだ。
住宅街の中、時代に取り残されたかのようにひっそり佇む
三ツ沢公園から2番目くらいに近い朝日湯は、
住宅街の中にあった。
藤棚浦舟通りという大きな通りに向けて目立つ看板も掲げておらず、玄関が路地から一段奥まったところにあるから、Google map頼りに店の近くに来るまで、朝日湯の存在に気付かなかった。
宮造り建築の昔ながらの銭湯という外観だが、うら寂れた雰囲気。わくわくや期待値は高まらない。
薄暗い玄関に入る。左手が男湯だ。
貼り紙の通り、営業時間は14時30分~23時までだ(2021年6月13日現在)。ちなみに不定休。
「出入口」と書いてある左の引き戸を引いて入店。
「お、いらっしゃい」
両隣からステレオでお声がけ。左からおじいちゃん、右からはおばあちゃんだ。一見さんだけど思わず「どうも」と言ってしまった。
番台に座ってるおばあちゃんに入浴料490円を現金支払い。
昭和ノスタルジーな脱衣所
脱衣所を男と女で隔てる壁の上にTVがあり、笑点を映し出していた。焦点をおじいちゃんが笑って見てる。なんか、ほのぼのとした老夫婦だ。
脱衣所はまさしく昭和50年代というかノスタルジック。天井は伝統ある格天井。ゆえにベース照明なし。蛍光灯が女湯とを隔てる壁と、反対側の壁と、番台上にあるのみ。脱衣所に窓もないから薄暗いのだ。
また脱衣所内には、ポスター・カレンダーなどの掲示物貼りまくり。日本人形、招き猫、あかべこ、うちわ、その他色んな物がゴチャゴチャ置いてあって、ホントうちの生家を思い出すよ。
ロッカーはトータル個数は90弱だろうか。壁に32個、中置き20個、女湯と隔てる壁に27個、その他少々。貸しロッカーみたいな雰囲気のロッカーもあったが、貸し出し関連の掲示がないから、貸してるかわからん。
縦長の大きなロッカーはなし。正方形に近い四角いロッカーばかりだが、サロモンのトレイルブレイザー20は余裕で入る。
藤で編んだかのような脱衣籠も一角にうず高く重ねて積まれていた(使わなかったが)。
年季を感じる秤タイプの体重計が1台。
4人がけベンチ1台。3人がけシーターも1台。その後ろにテーブルが置いてあり、さらにその後ろに古過ぎて動かないだろうマッサージチェア1台に椅子が2脚。
テーブルにはコロナ感染拡大防止のためのアクリル板と綿棒が置いてある。綿棒の箱には「入浴済みの人に限る」と書かれてる。
ドライヤーは1機で20円。洗面台は一つ。飲料水の販売機も置いてある。中にはビール、アップルジュース、コーヒー牛乳、飲むヨーグルト、水、お茶など陳列しているが、値段は書いてない。
とこんな感じの脱衣所でひときわ異彩を放つものがあった。
ロデオボーイ。
なんで、お前がここにおんねん?
女湯を隔てる壁は一面鏡なので、ランニング後に絞れた自分の体に見とれながら・・・
いや、まだまだだな。もっと腹回りの肉が落ちないかなと、ナルチシズムに眺めながら脱ぐ。
スポンサーリンク
汗を流して身体を清潔にできさえすればいいのだ
引き戸を引いて、いざ浴場へ。もちろん現代のような半自動ドアではない。
浴場も期待を裏切らず。いや、そもそも期待してないから、「予想どおり」がふさわしい。
カランは女湯側に6、中央中置きに10、外壁側に4、つまり合計20と標準的。しかし、中置きのカランは、鏡もシャワーヘッドもない。
シャワーの水圧は申し分なく、お湯の熱さもぬるめ。冬には物足りないかも。
タイルは所々ヒビが入っていたり、剥がれていたり。タイルの目地には黒カビあり。さすが年季が入ってる。清潔感は乏しい。
奥の壁には富士のペンキ絵。隅に「西伊豆、26.8.2」と書いてある。比較的最近だ。
さて、内湯は2つ。青い方のタイルは白湯。奥の壁から2条のジェット水流が、2か所から放たれている。
2箇所のジェット水流の間には、赤いハロゲンランプみたいなのが灯されていて、何ともアングラな雰囲気でちょっとミスマッチ。
白湯の方の浴槽は、湯温計は44度を示していた。熱めだが、体感的には42度くらいかと思う。
そして、その隣は上記で述べた白湯ジェットの半分くらいの大きさの薬湯。「バスフレンド ジャスミン」と壁にある。緑色の薬湯にも入っておこう・・・
あっちーーーーーーーーーー!!!!!
もう膝まで足をいれたら、このまま湯船に体を沈められない!
湯温計を見たら46度を示していた。
普通、薬湯の方がぬるくない?(今までの傾向)
さらにバイブラ気泡で、まさに煮えたぎる緑茶のよう。
ちょっと浴槽の縁に座って、この高温のお湯に慣れるか考えたけど無理。さっきの隣の風呂に戻る。
で、浸かりながら朝日湯の浴場を見渡す。ここも五反田の松の湯みたいに、2階相当部分の床をぶち抜き、天井が高い。
そして、白い壁に、梁や窓枠がブルーなのも同じなのに、爽やかではない。開放感に乏しく、浴室全体が薄暗い。
2階部分の窓は、外側から簾のような物で目隠ししていて、採光性が乏しくなっていた。
加えて、女湯を隔てる壁と反対側の外壁側は腰高窓で、すりガラスなんだけど、隣の建物が近く高いので、ここも採光性が低く全体的に薄暗くなっている。
女湯を隔てる壁は低いが、もうお察しの通り、嬌声は望むべくもない。
その他、立ちシャワーが1つあるけど、シャワーヘッドの高さが低い。180cmの小生だとかがまなければならない。
客は当然まばらで空いていた。三ツ沢公園でのスポーツの汗を流したいグループには、おすすめかもしれない(老夫婦に迷惑かけるなよ。マナー守れよ。)
サウナや水風呂なし。お風呂を楽しむというよりは、身体をキレイにする必要最低限の機能だけのミニマムお風呂。風呂のない家も多かったであろう、昭和からの公衆衛生浴場だ。
など感じていると、別の客が灼熱の薬湯へ。「熱いよー。」と思っていると、案の定熱かったらしく、浴槽の縁に座り、蛇口を捻って水を足し始めた。
そうか、その手が、あったか。空いてるからそれもありだよなー。
脱衣所と浴場を隔てる壁もガラス張りで、五反田の松の湯と同様だったんだけど、せっかくのガラスに脱衣所側から、ポスターや掲示物をペタペタ貼っているから、奥行きもなくなり開放感なく狭く感じた。
で、風呂から出て、団扇をあおいで着替えてた。脱衣所に貼られてる2m×1mくらいの横長のポスターを見ていた。
社会がなんたらこうたらと書いてある関東学院大学の広告ポスターや。
要は、「社会に役立つ人材を輩出すんで!」ってやつや。銭湯に老人や男の子、その子のパパがお風呂に浸かって談笑してる画や。
なんか見覚えあるな。。
あ!後ろのペンキ絵に「西伊豆 26.8.2」て書いてある!!
ロケ地、ここかいな!
だから、関東学院大学のポスターを貼ってるんやな。ん、まてよ?
壁に今日の薬湯が「バスフレンド ジャスミン」と書いてあんで!
今日と一緒。
まさか、いつもジャスミンやないやろなー!(おいでやす小田風)
そして、ポスターで高温の薬湯に入っとんのは、小学生の男の子。
熱くないんかー!(おいでやす小田風)
という発見があった。
私的銭湯評価 星1.5★☆
もう第一印象からだと0.5やけど、老夫婦のお人柄、綿棒が置いてあることの他、三ツ沢公園かのグループが来ても可能なくらい空いている点を考慮して星一つ半ですっ(巨匠風)
とはいえ、こんなノスタルジック銭湯、廃業も間近だろうな。あとどれくらい営業できるだろう。
スポンサーリンク
朝日湯のアクセス
JR相鉄線「西横浜駅」から徒歩約9分
距離にして約700m。西横浜駅以外にも京急線「戸部」駅も近い。
京急線「戸部」駅からも徒歩約9分
距離は約750m。さらに「平沼橋」駅からもアクセス可能だ。
JR相鉄線「平沼橋駅」から徒歩約11分
距離は約850m。このように朝日湯へは3駅からアクセス可能なのだ。