都会の中の昭和レトロ銭湯、目黒の「高松湯」はミニマム公衆浴場だった
目黒川ランの汗を流しに、目黒駅近くの高松湯へ行ったのだった。
目黒駅から徒歩5分の駅チカ銭湯!
銭湯「高松湯」は、JR山手線・東急目黒線・東京メトロ南北線・都営地下鉄三田線と4路線も通る「目黒駅」から徒歩約4分、距離にして350mの至近距離にある。
注意しないと、ついつい通り過ぎてしまいそうな高松湯。営業時間は16時~23時。月曜日が定休日だ。
手ブラ入浴可能!
店頭と玄関には手ぶら入浴ができる旨、貼り紙がある。なぜならタオルセット150円があるからだ。セット内容はタオル・ボディソープ・リンスインシャンプーだ。
胸を手で隠す手ブラではない。
断じて。
高松湯は、玄関から男女が別れる番台式だ。入り口の佇まいから年季の古さを窺える。
店内向かって右側が男湯というのはルールなのか?いつも右が男湯だ。だから愚息は左曲がりなのか。
左側へ行きたい!と(コラコラ。
昔ながらの木札の下駄箱は松竹錠。下駄箱の大きさは全て同じだ。ブーツはどうすんだろ?
高松湯店内への入り口は引き戸でなく、PULL/PUSHタイプ。引き戸や自動ドアが多いだけに開き戸はあまり見ないな、珍しい。
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シャンプー・ボディーソープが備え付け!
入って左手の番台に座ってるおばちゃんに入浴料金480円を現金払い。
さて、どのロッカーがいいかな?と背を抜けた途端、
おばちゃん「タオル持ってる?」と。
モチのロン、タオル持って来てるけど、お気遣いありがとうございます。
シャンプーとボディソープも持って来てるけど、ガラス越しに浴室を見やると、シャンプーとソープの備え付けがあるのね。
じゃ、店頭貼り紙で推してた「手ぶらセット」いらなくね?
手ぶらセット、意味あるんか!?
高松湯には貸しタオルもあるんだぜ?タオル40円・バスタオル60円だ。
脱衣所はエアコンが効いていて涼しいなか、どのロッカーにしようかな?と見回す。
入り口側の壁一面に4段×8列のロッカーが設置されている。全て同じ大きさのロッカー。また中置ロッカーもある。片面2段×6列で、同じ大きさロッカーが並ぶ。
仕事帰りに立ち寄って、ジャケットを吊るせるようなロッカーではない。
小生のSalomonのトレイルブレイザー20Lなら入るけど、仕事で使用するリュックや大きなブリーフバッグだと、このロッカー群だとちとつらいか?。
中置きロッカーの上には、訪れた日のニッカンスポーツに品川区の広報誌(目黒区じゃないの?)、銭湯のパンフレットが置いてある。
またガラスケースもあり、中にトランクスやソックス、歯ブラシを販売陳列。価格は数百円と高く、バリエーションもないので、必要ならUNIQLOなどで買うのがよいだろう。
こんなん忘れるやつがおるんか!?
そうだ、トイレに行っておこう、昭和レトロに似つかわしい和式トイレだ。
ん?眼前の壁に貼り紙がある。
「最近忘れ物が多くて困ってます」と。
小生「なんでトイレに?」
と読み進めるとどうやら、用を出した後、水を流さないやつがいて困るから、自分ちのトイレと同じようにキチンと水を流しましょう、とのこと。
う〇こ、流さんやつがおるんか!?
衝撃的な貼り紙やったわ。
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まだまだ続くよ、脱衣所実況中継
さて、高松湯の脱衣所内にはマッサージチェアが2つある。一つは「フジ自動マッサージ機」とメーカー・機種名が書かれている、昭和レトロでアンティークなマッサージチェア。背もたれから上下2段×2列の円盤が出ている。
マッサージは50円だけど、コイン投入口に「10円玉ダメで50円玉しか受け付けない」みたいなことが書いてある。
だいぶハードルたけぇーな!
財布に50円玉が入っていることなんて、あまりないぞ。
もう一方は、フットレスト&リクライニング付きで割と新しいマッサージチェア。したがって料金は100円と昭和レトロなチェアの倍の値段。料金はフロントで支払いとのこと。ちなみにマッサージ時間は15分だ。
あと脱衣所には、錆びついた年代物の秤タイプの体重計に、ベンチが1台、椅子が2脚ほど置いてある。また洗面所は1つ。
女湯とを隔てる壁は鏡になっている。鏡の前には、ドライヤー1機とヘアブラシが何本か置いてある。ドライヤーの使用料金は3分30円と標準よりやや高め。大体が2分20円だからね。ヘアブラシがあるからか?
そして鏡の下部は貸しロッカー。月の貸出料がいくらかは掲示が見当たらなかった。
以上、高松湯の脱衣所は、年季の入った家具調度品・内装で、昭和レトロぷんぷんだ。
しかし、浴室側の壁の上部には、トゥールビョン的デザインの掛け時計が。ちょっとミスマッチ(笑)。
ちなみに、脱衣所内はラジオ流れてんのか?と思ったら、テレビだった。普通、男湯と女湯を隔てる壁の上に、割と大きなサイズの液晶テレビが乗ってるじゃん?
番台の目の前の至近距離に、車の中で見るくらいの小さいサイズのテレビを置いていた。
おのれのかいっ!!
ま、別に構わんが(何様。
高松湯のロッカーの鍵は、カールコードでなくゴム紐(OMG!。プチ潔癖の小生は濡れていないゴム紐の鍵が付いているロッカーを探す。
脱衣所だけで喋りすぎたな・・・。
ランニングウエアを脱ぎ去り、いざ高松湯のお風呂へ。
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サウナ無しの公衆衛生を保つミニマル浴場
これも余り見ないけど、浴場への入り口がひとつじゃない。両脇にある引き戸から浴室へアクセスできる。つまり出入り口が2つ。これも珍しい。
引き戸はガラス張りで奥行き感が出てるので、浴室の閉塞感は少ないぞ。
カランは外壁側6・女湯側6・島カラン6×2の合計24。注目すべきは、島カランにはシャワーヘッドなし!
外壁側と女湯側のカランにのみ、シャワーヘッドがあるのだ。シャワーの水圧・水温は申し分ない。
備え付けされているリンスインシャンプー、ボディーソープは業務用。外壁側と女湯側に1セットずつ配置されている。
床のタイルは綺麗。壁など目地に黒カビ等あり、年季を感じる昭和レトロ銭湯。
鏡はわりかし綺麗だけどね。
カラダを清めて、いざ内湯へ
と勇むが、高松湯には白湯の浴槽が大小2つのみ!
他はなし!
サウナ?
水風呂?
露天風呂?
なにそれ?
そんなもんはない!
衛生を維持できれば良いのだ!
大きい方の浴槽へ入ってみる。タイルの目地などに黒カビや赤茶のサビなど、店主との歴戦を感じる。
浴槽内に段差があるが、手すりをもあるし、段差の高低差も激しくないのでご老人にも安心だ。水深は浅く、体育座りで丁度いい深さだ。
湯温は壁の水温計を見やると40度。小生好みのい~い温度だ。
大きい方の浴槽は、壁からジェット水流が噴出している。仕切りはないが2席分ある。
腰に1条、背中に2条のジェット水流が当たるが、背中の2条が万全でない。両席とも。
片方の水流が弱かったり、もしくは片方が死んで噴出しなかったり。これも歴史と考えればいとおかし。
ここは目黒ちゃうんか!?
壁には「お風呂の入り方についてのお願い」が貼ってあるので、浸かりながら読む。
- カラダを洗ってから入浴して
- 浴槽内でカラダを洗わない
- 浴室でカラダをよく拭いてから上がって
など、一般的なものが書かれている。
で、記載者として「品川保健所・荏原保健所」とある。
ここは目黒区ちゃうんか!?
さらに「品川信用組合」と記載もある。
目黒区ちゃうんやなー。
目黒駅から近いから目黒区だと思っていた。
あとで地図を調べたら、高松湯の住所は東京都品川区上大崎。
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ほ、ほんまや。
てか、目黒駅でさえも品川区やった。
と、風呂に浸かりながら、風呂場を見渡す。
コロナ禍で外壁側のサッシは解放しているが、隣の建物と距離が近く、見えるのはすぐ壁。つまり、自然光は入ってこない。
灯りは白色蛍光灯の7本くらいの光量だ。
高松湯の背景画は、風車があるアルプス湖畔みたいなモザイクタイル画。
女湯とを隔てる壁には、湖にたたずむ白鳥のモザイクタイル画。背景画とリンクして、整合性を取れてるのは珍しいかな。大体が関連性の無い絵が並ぶから。例えば、背景画は富士山で、他の壁の画は洋風の馬車、みたいな。
で、次は隣の小さな浴槽へ。こちらも段差があり、深い。水深90cm弱だろうか?。体育座りだと水面から顔が出ず息ができないが、正座すると丁度よい。
お湯自体は隣の浴槽の壁をくり抜いているから同じ。お湯の温度も40度くらいで。
こちらの小浴槽は、段差に座ると座風呂になり、半身浴が可能。
以上、サウナもない、水風呂もない、立ちシャワーもない、という必要最低限の装置で公衆衛生を保つという銭湯の役割を果たすの高松湯であった。
水風呂も水シャワーもないけど、ランニング後なので温冷交代浴はしておこうと思って、ケロリンの風呂桶にカランから水を溜めて、頭から浴びた。
2セットくらい。
決して何かを祈願している、ということではない。
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あえてレトロにしている部分もある
風呂から上がり、中置ロッカーに置いてあったウチワを拝借して仰ぐ。
手に取ると、持ち手やかま、骨がプラスティックでなく竹。地紙には、昭和レトロを思わせる絵が描いてある。
絵のタッチやイラストが昭和っぽい。フォント(字体)も昭和ノスタルジックなもの。色の再度も色褪せており、年季を感じさせる。
中野ブロードウエイのまんだらけにブリキのおもちゃと一緒に並んでそうな古いウチワ。
けど、状態がいいんだよな~。
骨もかけず、柄も傷がなくきれい。地紙も破れがなく、避けて切れてもいない。
年代物でこんなに状態がいいなんて、逆にもったいなくね?と思い、よく見ると
「花王130周年」と地紙に書いてある。
なんだよ!最近作った昔風のウチワかよ!!
調べたら2017年が花王130周年だ。
最近じゃねーか!
「木を隠すなら森の中」ってか!
リアルレトロの中にフェイクレトロが混ざっていたら、ばれにくい、ということだ。
気づいたら番台がおばあちゃんからおじさんに変わってた。都会の真ん中のレトロ銭湯にはまだまだ頑張って欲しい。高松湯もまだしばらくは入れるかな?
終わり。